ことばの百科店

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犬がドッグを食べる

「お母さん、リップはどこ?」「鏡台の引き出しに入ってない?」
妻と娘の会話です。ここで言う「リップ」は、おわかりでしょうけど、リップ・クリームのことです。
つまり、唇に塗る(荒れを防ぐための)クリームです。
(本当にそれのことを英語で「lip cream」と言うのかどうか私は知りませんが、それはさておいて)
リップ・クリームを略して「リップ」と言っているのですが、少し変ですよね。だって、「リップ(lip)」って唇のことでしょう?
(厳密にいえば lipと唇とは同じ意味ではないらしいのですが、それもさておいて)
娘は、もちろん、誰かの唇を探しているわけではないはずですが、何の疑問も抱かずに「リップどこ?」と言います。
もしも、唇に塗るクリームのことを「唇クリーム」というのが普通であれば、「唇どこ?」なんて誰も言わないはずですよね。
つまり、リップ・クリームの「リップ」という単語を発するとき「唇」という概念は殆ど消えてしまって、意識されないのでしょう。
そういえば、これと同じような現象が他にもいくつかありますよね。

「雪道を車で走るのはこわいよね」「この車はスノーを履いているから大丈夫だよ」
これもおわかりでしょう。もちろん、この「スノー」はスノー・タイヤのことです。
「雪」+「タイヤ」だから「雪タイヤ」と言えばいいのに、わざわざ「雪」をカタカナ語に言い換えて「スノー・タイヤ」と呼ぶ理由は何なのでしょう。
「唇」+「クリーム」 → 「リップ・クリーム」
「雪」+「タイヤ」 → 「スノー・タイヤ」
まだあります。
「子供」+「座席」 → 「チャイルド・シート」
「自由」+「市場」 → 「フリー・マーケット」(flea market つまり「蚤の市」というのもあるから ややこしい)
「脚」+「温め」 → 「レッグ・ウォーマー」(私は普段「すね当て」と呼んでいますが)

まだまだありそうですね。単語を二つ以上つなぐとき、そのままつなぐのではなく、一旦、英語(または英語もどき)に置き換えてからつなぐ、という不思議な現象。こういうのって 外国にもあるのでしょうか。
「学校」+「地域」 → 「スクール・ゾーン」 なんぞはこれらの大先輩?と言うべきでしょうか。
でも、「この辺りはスクールだからスピードは控えめに」などとは言いませんね。

え?
「犬」+「餌」 → 「ドッグ・フード」
もしも、この「ドッグ」が「リップ・クリーム」の「リップ」みたいな存在だったら、こんな表現もありえますね。
「あ、犬がドッグを食べてる」


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